邦和病院 IT戦略室

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IT戦略室

中小病院におけるPACS導入について

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邦和病院 
放射線科技師長
IT戦略室長
松岡 大樹
E-mail:matuoka@houtokukai.or.jp

PACSを導入したいが初期費用が・・保守費用が・・と考える中小病院やクリニックは多いと思います。
実際に色々な業者から見積もりを取ると数百万から場合によっては数千万とまだまだ高額な商品である上に月額保守費用もかかり、導入を見送る施設も多いようです。
そこで少しの努力と自己管理により自分でPACSを構築、管理する方法をご紹介しようと思います。

昨今の撮影料引き下げに続き、アナログ、デジタルの撮影料の区分、CTは16列、MRIは1.5Tで診療報酬が分けられ、レセプト電算の努力義務化や、PACSにおける電子画像管理加算などの流れから考えると今後の診療報酬の流れは機器の性能による診療報酬の区分は当然ながら PACS、RISなどITの導入などでの診療報酬の区分がますます拡大していくのではないかと容易に考えられます。

そこでお勧めするのがハード代金、ネットワーク構築代金以外無料で構築できるフリーPACSの構築です。

・PACS導入の魅力・


PACSの魅力とはやはり患者さんのデータの見読性の向上が1番です。
今日撮影した画像を参照した後に1クリックで過去画像参照比較ができますし、今日1日で何をどれだけ撮影したかなど統計や画像確認もいちいちフィルムを持ち出す必要も無くなりました。
また当院の様な中小病院ではフィルム保管場所にそうとう悩まされ、年に1度のフィルム大移動などもうPACSがあれば過去の思い出となってしまいます。
そして何より部門管理者、経営者に嬉しいのが
フィルム購入代金が一切かからない!
電子画像管理加算によりフィルム算定時代より診療報酬が高くなる!
など支出を減らしさらに収入を上げるという2度おいしい話が待ってます。


けして難しくないフリーPACSの導入

当院では業者から購入した薬事認定PACSとフリーソフトを使用して構築したPACSとの2種類のPACSを稼働させ完全フィルムレスにて業務を行ってます。
高額にて購入したメーカー品PACSと殆ど無料で構築したPACSと比較してどうか?
正直使い勝手はどちらも一長一短で同じですが、画像参照、サーバー管理に限ってはフリーPACSが一枚上手です。

導入において初めに書いておかなければならない注意点が数点あります。
①電子カルテとの連携はWeb型のPACSであればリンクを貼るだけで可能ですが、フリーのクラサバ型PACSでは対応出来ません。
②導入するとサーバー管理は自ら行わなければなりません、サーバーダウンを起こしてもすぐ復旧できる設備をお勧めします。
③薬事認定機器が最低1機無ければ電子画像管理加算を加算することはできません、しかし診療補助・参照に使用するPACSには薬事認定の必要がありません。ルールを守った上、自己判断でご導入ください。
④このページでの説明はPACS導入をお勧めしていますが、責任は一切お取りできません。自己責任にて導入、管理を行ってください。



初めにサーバーとViewer選び。

PACSはサーバーとViewerとで成り立っています。それぞれにフリーソフトが多くありますが今回は一番安定稼働すると思われ、比較的導入しやすい組み合わせを紹介します。

①有名なOsirix使用しMAC環境でサーバー構築する方法
②DCM4CHEEをサーバとし、WeasisやK-pacsやGinkgo DADxで画像参照する方法
③ConqestサーバーにK-PACSをのせWin環境にて運営する方法

の3つの方法がもっともポピュラーで安定稼働すると考えてます。どちらも魅力的ですが機能が飛びぬけて素晴らしいOsrixはデータが蓄積していくと動作が非常に重くなり、SQL等で別にデータベースを用意する事を考えるとMACを用意するだけ勿体無く、PACSServerと言うよりは、フリーワークステーション的な印象です。

②のDCM4CHEEは非常に優秀ですが、スキルが伴わないと管理難易度は高い。
当院でも3台目Pacs ServerとしてDCM4CHEEをミラーリング用に使用していますが理解するのにはまだ時間がかかりそうです。(院内無線LANでi Phoneやi Pad からアクセスするのには非常に優秀です。)


③のConqest にK-PACSを合わせた方法ですがこの組み合わせは全国的にも多く用いられており安定稼働の実績が一番取れた組み合わせだと思います。何より簡単なため、管理しやすいといった点が1番のメリットと考えます。
またサーバーに送られてきたDICM情報を管理するデータベースにSQLを使用します。

Conquest+K-pacsを構築するために用意するもの。


サーバーに1台ワークステーション(当院ではDELL T3500を使用)を用意、なんでも結構ですが、常時電源が付きっぱなしなので耐久性のあるPCをお勧めします。同時接続数が多い病院はOSも考慮して下さい。
クラッシュ用予備サーバーとして1台同じ設定のPCがあるとさらに安全稼働します。
あとは画像を参照したい場所の数だけK-PACSをインストールしたViewerーPCを配置

上記の物があればLAN関係以外はすべてOKです
LAN構築についてはまた別の機会に書こうと思います。

フリーPACS構築概算見積もり

フリーPACS構築概算見積もり

PACS価格 SRV冗長化 NAS冗長化
①無床診療所など診察室と一般撮影室のみ 約13万
約9万プラス 約4万プラス
②100床前後の施設 Viewer10台と仮定 約83万
約9万プラス
約4万プラス
③既にPACS導入済みの施設への予備機として 約13万
約9万プラス
約4万プラス

※見積もりにはLANネツトワーク構築代金・高精細モニタ・モダリティー接続料を除く

単純PACSとしての概算見積もりになります。ハードのグレードにより上下します。

      ※SRV-PC代9万・Viewer-PC代7万・NAS代4万として計算

 


用意するソフト

LinkIconConqestダウンロード
LinkIconMy SQLダウンロード
LinkIconK-PACSダウンロード


各種設定

まずMY SQLをインストール時にパスワードを要求されますので、好きなパスワードを入力します。
インストール終了後コマンドプロントに「mysql -u root -p」と入力し、パスワード入力画面にします。
インストール時に入力したパスワードを入力したらログイン完了です。次にデータベースを作ります。
コマンドプロントに「create database conquest;」と入力するとQuery OK, 1 row affectedとの表示が出ます、これで作成終了です。

実際に作成したデータベースを確認してみましょう。コマンドプロントに「show databases;」と入力すると、データベースにConqestと表示されます。


Conqestのインストール

次にConqestsever.ZIPを解凍し中のConqest DICM Sever.exeにてインストールを開始します。
初期画面は「Microsoft Access Detebase」を選択しておき、次に進みます。
そして何もせず一度終了します。

その後MYSQLとConqestを連動さすためMySQLの「libmySQL.dll」をCONQUESTをインストールしたフォルダにコピーします。\ProgramFiles\MySQL\MySQL Server 5.1\binにある「libmySQL.dll」をコピーしConqestのファイルの中にある「libmySQL.dll」と置き換えます、そしてもう一度Conqestを立ち上げると先ほど「Microsoft Access Detebase」
を選択した画面に「native MySQL driver」が出現しているのでこれを選択します。

上段の「installation」より右の「Verify TCP/IP installation」をクリックしTCP/IPの通信テストを開始します。Succesful end of test と表示されると完了です
次「Make ODBC data source」を押してデータベースを作成します。

Datasource configuration succesfulと表示されたら「Verify database installation」 ボタンを押します。
Succesfulと表示されればOKです。
最後に "(Re)-initialize database".ボタンを押して、データベースを構築します。
[TYCO] Regeneration Completeと表示されると完了です。

一応Conqestはヴューアー機能を備えていますが、実際の現場で使えるとは言い難いものがあります。なのでサーバーにもK-pacsをインストールしましょう。

K-pacsをインストールする際のPort番号はそのまま104でいいかと思います。 AETはあとでも変更可能ですが覚えやすいものを入れましょう、重複は禁物です。
右上のの画像をクリックしサーバー情報を記入します。初めから親切にConqestの情報が入っているため IP addressだけサーバーのものと置き換えればそれで結構です。

以上簡単に説明しましたが、設定は普段からオラクルやSQLなどを触る機会がある人には簡単ですが、初めての人には何が何やら分からないかもしれません、設定を有償で行う業者に頼むもよし、詳しく調べて設定するもよしです、一度設定が出来切るころには『なるほど!』とサーバーとデータベースの関係が見えてくると思います。


薬事認証PACSにするために

現在2011年、薬事認証のPACS以外での診断や電子画像管理加算の算定は薬事法違反です

フリーPACSで現在薬事認証を取得!これは現在の日本では不可能です(日本の薬事にソフトウエアという概念がないため)

しかしPACSの薬事に関してサーバやデータベース等に薬事認証の必要がない!これがフリーPACSを使用するおおきなメリットなのです。

通常業者からPACSを購入するとその内容は『データベース、NAS、サーバ、Viewer必要数』となっています
この中の『データベース、NAS、サーバ、Viewer必要数-1』をフリーPACSで賄い、残りの1端末に薬事認証の取れたViewer1台のみ業者から購入し、接続するといった手法で、法的に薬事認証PACSシステムの完成です。
システムの殆どを自作するため導入コストは非常に安くなります。
PACSkounyuu.jpg
そして薬事認証機を読影室など主に診断を行う場所に配置し、他のViewerは参照用として御使用ください。


ここでお薦めする薬事認証PACS ViewerはK-PACS商用版のIQ-VIEWです。
なによりCobquestサーバとの相性も信用できます。
安価で高性能ということもあり当院でも導入し活用させていただいてます。



保守と管理

私は設定より保守管理やLAN構築におけるセキュリティーを最も重要視しています。少し前にも書いたようにサーバーは同じ設定の物を1個予備として置いておくのが望ましいと考えます。

当院のように救急指定病院などでは24時間サーバーの電源はつきっぱなしです、夜中にいきなりサーバーダウンしてしまう可能性を想定して、IT管理者不在時にサーバ復旧しなくても画像閲覧ができる環境を作る必要があります。
そのためハードディスクはネットワーク対応のものが必要になります。

ハードディスクも最近はRAID対応のものが安くなってきていますが、これも冗長化の必要があると考えています。


死んでもデーターは守ると一人で意気込んでいますが、現在邦和病院ではPACSデータベース2セット、PACSサーバー4台(予備機含む)外部ストレージ6台(バックアップ含む)で構成されており、震災などでも3台までなら同時に潰れても何とか復旧出来るように構築してあります。

予算に応じたPACS環境例です

pacs1.jpg

安価型:

殆どのPACSベンダーが持ってくるセット内容と思われます、Server機の故障には対応できません、NASの故障時は迅速に対応でき、NAS双方にRAID6などを導入するとデータの安全性は高いがやはりServer機が故障するとアウトという面から考えるとお勧めできる内容ではありません。

pacs2.jpg

準安価型:

上図の超安価型と予算もそれほど変わらない。
Serverを2台にすることでServer機の故障にもNAS故障時にもK-PACS内のサーバ参照先を変えるだけで止まらないPACS環境を実現することができる。
お勧めする環境の中で一番安価です。

pacs3.jpg

安全型:

これが出来たら言う事なし!2台のServer機の内最低1台のNASを冗長化、さらに長期画像保管に対応するため、ある程度時間のたった画像は過去画像専用サーバに移すことによりメインサーバの負荷も軽減できる。



NASにレプリケーション機能が無かったら?
モダリティーに送信先が複数持てない場合は?

PACSの冗長化をConquestを使って行う方法をご紹介します。
Conquestをインストールしたフォルダを参照すると、dicom.iniというファイルがあると思います。
このiniファイルに構文を追加することで、Conquestはミラーリングやゲートウェイといったような働きをしてくれるようになります。


NASのミラーリング方法

1.png
上図は通常PACSのデータ移動図です。
各モダリティからServerにデータが飛び、SQL等データベースに情報が書き込まれ、画像データはNASに保存されます。
では、このNASをミラーリングさせると
2.png
この様になります。
NASが2つ存在するため、ハードトラブル等で1つのNASを失ってもデータは守れます。
この様に1つのServerから2台のNASにデータを飛ばす方法は先ほども書いたようにdicom.iniファイルに追記します。
ますデフォルト状態のdicom.iniを見てみましょう。

# Configuration of disk(s) to store images
MAGDeviceThreshhold = 0
MAGDevices = 1
MAGDevice0 = 【データの保管先】
NightlyCleanThreshhold = 0
最後にこの様な構文があると思います。
【データの保管先】にはConquest設定画面で指定した場所が入っているはずです。
この構文の後に1段あけて
# Configuration of mirror disk(s)
MIRRORDevices = 1
MIRRORDevice0 = y:\mirror_dicomdata\
と記入してください。
MIRRORDevice0には新しい保存先を入力してください。
上記は当院の例でNASをYドライブとしてネットワークドライブ認識させ、その中のmirror_dicomdataというファイルの中にミラーリングをしているという形です。
dicom.iniを保存し、Conquestを再度立ち上げるとミラーリングができる状態になっているはずです。


Serverへの自動転送

次はServerへの自動転送です。
先ほどのNASミラーリングではデータは守れてもServer機の故障には対応できません。
Server機を2台にしたいがモダリティーからの自動転送先が1つしかない。
という時の構文です
図にすると
3.png
こんな感じですね。
またまたdicom.iniを使用します。
dicom.iniの最後に
# Setup conquest server to forward all images received to a single modality
ForwardAssociationLevel = *
ForwardAssociationCloseDelay = 5
ForwardAssociationRefreshDelay = 3600
ExportConverters = 1
ExportConverter0 = forward to PacsServer2
の構文を追記してみてください。
PacsServer2はConquestから自動転送する受け側ServerのAEタイトルです。
そしてConquestのGUIMAP(Conquestの上タブ4番目[Known DICOM providers]の中に転送予定の受け側PACS情報を入力してください。
5.jpg
上図:説明用に作った物ですが、上から2番目にPacsServer2の情報を書き込みます。AE・IP・ポート・圧縮のスタイルを順に記入します。
圧縮は書き込まなくても使用できますが、院内無線LAN上のi Phoneやi Pad等での画像参照はLossyが良いように思えます。


おさらい

4.png
上図の様なNASミラーリングとServer自動転送を同時に行う構文は
【NASの保存先をF\DCM 2機目のServerのAE=YYY】と過程

# Configuration of mirror disk(s)
MIRRORDevices = 1
MIRRORDevice0 = f:\DCM

# Setup conquest server to forward all images received to a single modality
ForwardAssociationLevel = *
ForwardAssociationCloseDelay = 5
ForwardAssociationRefreshDelay = 3600
ExportConverters = 1
ExportConverter0 = forward to YYY




K-PACSを日本語化しよう!

KPACSJPG11.jpg
KPACSJPG2.jpg

LinkIconcustom.ini(IEにてダウンロードお願いします。)
K-PACSを日本語化するために『custom.ini』をダウンロードしてください。
日本語化にはこれまたiniを修正する必要があります。
これをK-PACSのインストール先C:\KPacsにある『custom.ini』と入れ替えて下さい。
当院用にかなりアレンジを加えていますので使用の際には貴院の判断で使いやすいように修正して下さい。
SRV管理画面の日本語化は収納フォルダが違います、インストールフォルダ内の『K-Pacs-Server』フォルダの中の『custom.ini』を修正する必要があります、非常に情報量が少ないためUP致しません。

i Phoneを使用した遠隔画像配信も無料で!

最近i Phoneやi Padが医療現場に急速に普及し、新聞や雑誌などでもよく目にします。
サーバー選択①のOsirixはこういう機能がもともと備わっていますが②のConqest K-pacsのセットにはもちろんありません、というか市販のPACSに標準で付いているものはOslrisx以外ありません、
当院でも脳外科の和田院長が不在の際に脳出血や脳梗塞の患者が救急搬送された際に院長のi Phoneに画像を送信したく某メーカーのi Phoneの遠隔読影システムを見積もったところ、、なんと○千○△万円!?と腰を抜かしました。

しかしシステムやセキュリティーを良く聞くと自分でなんとも簡単に設定出来てしまうのです。
細かくこの場で説明できないのは申し訳ありませんが、まずWebサーバーをたて、データファイルサーバーを設置します。
パスとIDにてセキュリティーをかけ、Webサーバーにアクセスできるi Phone のMACアドレスを登録し、認証の取れたi Phone以外ではパスとIDがあってもログインできなく設定してしまいます。
あとはPACS側からwebサーバーに患者情報を抜いた画像をアップロードし、i Phoneでそれを閲覧します。
アップロードされた画像は1週間で自動削除されるように設定すれば完成!

なんと無一文で遠隔画像配信システム完成!某有名ソフトとなんの変りもない出来栄えです。
画像送信はPACSの画面を開いて送信までやく3分、i Phone側では約100枚のCT画像を3G回線で閲覧するのに要するローディング時間約40秒。もちろん指で拡大したり、指でスクロールするだけで画像をめくることが出来、あらかじめ作っておいた3D画像を動画の様に動かすこともできます。
IMG_0284.jpgIMG_0283.jpgIMG_0285.jpg